Atlas Runa
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Beginner Japanese Stories

うらしまたろう

むかし、うみのちかくに、うらしまたろうというおとこのこがいました。たろうはやさしくて、つりがすきでした。あるひ、子どもたちがかめをいじめているのをみます。 「やめなさい!」
たろうはかめをたすけて、うみにかえします。かめはよろこんで泳いでいきます。
つぎのひ、大きな美しいかめが、たろうのまえにきます。 「きのうはありがとう。りゅうぐうじょうへしょうたいします。」
たろうはかめのせにのって、うみのそこへいきます。みずの中はあおく、さかなが光ります。りゅうぐうじょうはきらきらしたおしろです。おとひめさまがむかえてくれます。 「ゆっくりしていらっしゃい。」
たろうはごちそうをたべ、おどりをみ、楽しい日々をすごします。でもあるあさ、いえがこいしくなります。 「おかあさんとおとうさんがしんぱいします。」
おとひめさまは小さな玉手箱をくれます。はこはちいさくて、きれいです。 「このはこはあげます。でも、開けてはいけません。」
たろうはかめにのって、きしへもどります。むらは様子が変わっています。知らない家、知らない木。だれもたろうを知りません。 「うらしまたろう?むかしばなしの?」
たろうはふるえながら、玉手箱をあけてしまいます。白い煙がでて、たろうの髪は真っ白になります。箱の中は空です。
たろうはうみを長く見ます。波の音だけが聞こえます。かめの姿はもうありません。彼は箱を閉じて、砂の上に座ります。日が沈みます。むらの灯が一つ、また一つつきます。
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たろうは小さく言います。 「りゅうぐうじょうは夢のようだった。」
風が塩のにおいを運びます。白い髪のたろうは、まだ波を見ています。やさしかったかめのこと、開けてしまった箱のこと、そしてもう一度だけ、青い水の底の光を思い出します。
たいようがゆっくりしずみます。みちにはあしおと、ドアのおと、いぬのこえ。だれもはしりません。むらはふつうのりずむです。
しばらくしずかです。とおくでだれかがなまえをよびます。くるまいしのみちをとおりすぎます。パンとぬれたつちのにおいがします。
「だいじょうぶ?」となりのひとがまどからききます。 「だいじょうぶ。」したのひとがこたえます。「ただ、ながい一日だった。」
いえのなかのあかりはちいさくて、きいろいです。いすとテーブルと、みずのつぼがあります。だれかがみずをそそぎます。だれかがすわります。だれかがドアをいちびょうみて、まただれかがくるのをまつみたいです。
そらはくらくなります。さいしょのほしがでます。かぜがえだをゆらします。ねこがにわをゆっくりあるきます。よるもいそぎません。
ねるまえに、きょうのことをちいさいこえでもういちどはなします。みち、こわさ、わらい、いえへのかえり。ながいはなしはいりません。いえにいて、テーブルがととのっていて、まどがしまっている。それでたります。あしたむらはまためをさます。このはなしは、あかりのそばできいたむかしばなしのように、こころにのこります。

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