コイ、龍門をこえる
むかし、大きな川に、たくさんのコイが住んでいました。川は高い山から海へ向かって流れ、その途中には、岩にかこまれた高い滝がありました。
滝の上には、龍門とよばれるふしぎな門が立っていました。昔から、コイたちは一つの言い伝えを聞いていました。
「強い流れに負けず、滝を上って龍門を飛びこえたコイは、空を飛ぶ龍になる。」
その話を聞き、多くのコイが龍門を目指しました。しかし、滝の下まで来ると、ほとんどのコイは高い岩と激しい水におどろきました。
「こんな滝を上るのは無理だ」と言って、次々に川の下へ帰って行きました。
一ぴきの小さなコイだけは、滝の下にのこりました。水しぶきの向こうに見える龍門を見上げ、まず流れに向かって泳ぎ始めました。
小さなコイは力いっぱい泳ぎ、高く飛び上がりました。しかし、滝の水に押しもどされ、下の川へ落ちました。
コイは岩かげで少し休みました。それから、もう一度強い流れに入りました。前より高く飛びましたが、また水に落とされました。
川の魚たちと空の鳥たちは、小さなコイが何度も挑戦する様子を見ていました。
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「体が小さすぎるよ。龍門にはとどかない」と、ある魚が言いました。
それでも、小さなコイはやめませんでした。流れをよく見て、少し休み、また泳ぎました。飛んでは落ち、落ちては休み、何度も滝へ向かいました。
やがて、滝の下で大きな波が立ち上がりました。小さなコイは、その波が上へ向かう力を使いました。波に乗り、今までより速く、高く上がりました。
波はコイを滝の上近くまで運びました。しかし、龍門はまだ少し上にあります。小さなコイは最後の力を出し、もう一度大きく飛びました。
今度は、小さなコイが龍門を飛びこえました。
そのしゅんかん、空に雷の音がひびきました。明るい光が小さなコイをつつみました。光の中で、コイの体は大きくなり、長い龍のすがたに変わりました。
新しい龍は雲の中へ上がり、空を飛びました。下にいた魚や鳥は、そのすがたを見上げました。
ほかのコイたちは、龍門をこえることが本当にできると知りました。すぐに成功しなくても帰らず、流れを見ながら、泳ぎ方と飛び方を練習し始めました。
Comprehension Quiz
龍門を飛びこえたコイは、何になると言われていましたか。
小さなコイは、大きな波をどう使いましたか。
小さなコイが成功したあと、ほかのコイたちは何をしましたか。
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