漁師と妻
むかし、まずしい漁師が妻と古い小屋に住んでいました。漁師は毎日、海で魚をとりましたが、二人の生活は少しも楽になりませんでした。
ある日、漁師が海に糸を入れると、大きな魚がかかりました。その魚は金色に光り、人の言葉で話しました。
「わたしは、魔法で魚にされた王子です。海へ帰してくれたら、あなたの願いを一つかなえましょう。」
漁師はおどろきましたが、何もたのみませんでした。「命を助けるために、お礼はいりません」と言って、魚を海へ帰しました。
家でその話を聞くと、妻はおこりました。「どうして何もたのまなかったのですか。この古い小屋の代わりに、小さな家をもらってきてください。」
漁師は海へもどりました。海は静かでした。漁師が魚をよぶと、魚が水から顔を出しました。漁師は妻の願いを話しました。
「家へ帰りなさい。もう願いはかなっています」と、魚は言いました。
家には、きれいな小さな家がありました。しかし、数日後、妻はその家では小さすぎると言いました。今度は、石でできた大きな城をほしがりました。
漁師がまた海へ行くと、水は前より暗くなっていました。それでも魚は願いをかなえました。二人の家は大きな城になりました。
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妻はすぐに、城だけでは足りないと考えました。国を動かす王になり、次にはもっと広い国を動かす皇帝になりたいと言いました。そのたびに、漁師は海へ行きました。そのたびに、海は暗くなり、波は高くなりました。
漁師は妻の願いがこわくなりました。「もう十分ではありませんか」と聞きましたが、妻は聞きませんでした。妻は教会で一番えらい教皇になりたいと言い、その願いもかなえられました。
ところが、次の朝、妻は空を見て言いました。「太陽と月を動かし、空のすべてを動かしたいです。」
漁師はひどい風の中を海へ向かいました。海はまっ黒で、大きな波が岸にぶつかっていました。漁師は魚をよび、妻の最後の願いを伝えました。
魚は短く答えました。「家へ帰りなさい。」
漁師が帰ると、大きな城は消えていました。妻は初めの古い小屋にすわっていました。二人がもらった物は、すべてなくなっていました。
海のあらしは止まりました。それから、魔法の魚が漁師の前に出ることは二度とありませんでした。
Comprehension Quiz
漁師が魚を海へ帰した時、何をたのみましたか。
妻の願いが大きくなるたびに、海はどうなりましたか。
最後に漁師と妻はどこにいましたか。
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